〔そば粉の区分〕
そばの実は、挽いて殻を取り除き、乾燥・製粉してそば粉にする。ふるいにかけて下記のように取れる順に選別する。
1)花粉(中心部に近い粉)は、打ち粉(製麺時に振る)。炭水化物90%超、タンパク質4〜6%、脂肪等 1%未満
2)一番粉(内層紛)白色でさらさら粉(更科粉)
炭水化物90%超、タンパク質7%、脂肪2%

3)二番粉(中層粉)緑褐色・灰褐色で香り強い
炭水化物45%、タンパク質38%、脂肪10%、灰分6%

4)三番粉(表層粉)黒褐色、香りえぐみが強い
炭水化物52%、タンパク質33%、脂肪10%、灰分5%
1. そばの生態
そば 中央アジア原産の1年草です。茎は直立し高さは70cmほどになります。写真で見るように葉は心臓形で先は鋭尖状。6月から9月にかけて、茎先や葉液から短い柄を出し、先に短い穂状の花序をつけ、白またはピンクの小花をいっぱいつけます。
2. 日本のそば
日本では、縄文遺跡からもそばの花粉が採集されていますので、野生のそばがあったのでしょう。栽培種は、中国大陸から朝鮮半島を通って伝わったとされており、滋賀県あたりが最初の栽培地で、その後、山梨、長野、埼玉、千葉、茨城、群馬などで広範囲に栽培されるようになりました。江戸時代には、信濃(長野)が名産地になり、明治大正時代に北海道が主産地になったとされています。
そば切り(細長い麺状のもの・・・現在一般に食されている)の発祥地は、甲州か信州だといわれています。
それ以前は、どのようにして食べられていたか・・・食べ方の変遷は・・
そばの実を米や麦にまぜて「そば飯」、柔らかくにて
お粥にしたり
ひき臼で粉にして 「そば団子」
熱湯で練って食べる 「そばがき」
そして、「そば切り」
   
最初の頃、そば粉100%生蕎麦(きそば)は切れやすいのでセイロウで蒸して食べていました。
その後、小麦粉をつなぎに使った「二八そば」小麦粉2、そば粉8などが主流に。 
3. そばの栄養価
1) 良質のたんぱく質を多く含むそば粉は、栄養価が優れています。
生命の維持・成長に欠かせない必須アミノ酸の、トリプトファン、リジン、メチオニンなどがバランスよく含まれています。
そば粉のタンパク質は40%が水溶性なので、ゆでるとゆで汁の中に相当量のタンパク質が溶け出るので、そば湯を飲む習慣があるのでしょう。
2) そば粉には、ビタミンB1やB2も多く、コリンやナイアシンなどのビタミンも含まれています。
ビタミンB1は、脚気を防ぐことで知られているように、エネルギーを作り出す糖質の代謝に必要なもので、精神安定などの効用もあります。
ビタミンB2は、脂質の代謝をよくし、動脈硬化などの予防にも。
肝臓を保護・強化し脂肪肝や肝硬変予防にも効くコリンや皮膚炎・胃炎・胃潰瘍を防ぐナイアシン、疲労回復に良いパントテン酸のビタミン系も含まれています。
3) 食物繊維も多く含まれているので、便秘解消にも効果があリます。
4) そばが高血圧に良いのはよく知られていますが、これは、ルチンが毛細血管を強くし血圧降下の働きをするからと言われています。
「おろしそば」が健康に良いと言われるのは、大根おろしに多く含まれるビタミンCがとそばのルチンにより血管強化作用が向上するからです。
5) そばのポリフェノール類には、ルチンのフラボノイド類、プロアントシニアジン類、コーヒー酸誘導体などが含まれており、動脈硬化防止、高血圧予防、コレステロールや中性脂肪を下げるなどの作用があります。
ポリフェノールは、癌や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病の引き金となる活性化酵素を除去する作用があることが確認されています。
4. そばの話題いろいろ
1) そば屋の屋号いろいろ
「藪」は、昔 藪を切り開いたところにできたそばという意味で、今は、二番粉で打ったそばを出す店のことを言うそうです。
「更科」は、信州の産地・更科のそば粉を使ったことから。一番粉の更科粉を使ったそばを出す店。
「砂場」は、大阪の砂場といわれるところに「寂称庵」という繁盛店があったところからと・・・。
「○○○庵」は、江戸中期に江戸浅草の「称住院」の「道光庵」が起源だそうです。
2) 「もりそば」と「かけそば」
「もりそば」は、ゆでてざるに上げ、冷水にさらして水を切り、つゆにつけて食べるもの。
「かけそば」は、熱いかけ汁をかけて食べるもの。
3) そば粉とつなぎの比率と食材
つなぎの混合率により、一九、二八、三七、四分六、同割などと呼ばれ、つなぎも、山芋、鶏卵、鯛のすり身、えび、柚子、お茶などが使われています。
4) 地方の名物そば
わんこそば(盛岡・花巻)、出雲そば(三番粉使用田舎そば)、わりごそば(島根県出雲)、大山そば(島根県)、にしんそば(京都)、皿そば(兵庫出石)、越前そば(福井県・おろしそば)、信州そば(戸隠そば)、など。
5) そば湯
前述のように、そば湯は、そばをゆでてたんぱく質が多く溶け出た湯のことです。健康に良いので飲むように。
普通、そば湯は「もりそば」を注文するとでてきますが、「かけそば」の場合は出してくれないところが多いようです。「もりそば」でも、「そば湯ありますか?」といわないとだしてくれないサービスの悪い店もあります。
そば湯は新しいつゆを加えて飲む・・・わさびなどを入れた残りのつゆの中に注ぎこんで飲む人もいますが・・・のがおいしいので、そばを食べるのにつゆを使ってしまうと、後でシマッタということに。
現代は、そば焼酎なども置いている店もあるし、家庭ではそば湯をとっておいて、晩酌に、そば焼酎のそば湯割りで飲むのも健康的で、おいしい飲み方です。更に、山芋などを入れたそばサラダを肴にすると「そば三昧の晩酌」ということになります。
池波正太郎の「剣客商売」の主人公「大先生の秋山小兵衛」が、そば屋で一杯・・・という場面が多く出てきますし、大衆小説の武家町民物語にも、昼間から「そば屋で一杯」は盛んにできます。江戸町民にとって、そば屋がいかに身近な憩いの場所であったかがわかります。
6. そばを食べる風習
年越しそば、引越しそば、棟上そばなど。
「引越しそば」という言葉は残っていて、時には耳にすることもないことはない・・・けれども、今時、引越し先で「そば」を注文して食べる人は珍しい。荷造り・運送・荷解きは、すべて運送パックがやってくれるので、本人達は、ドライブインか、車中弁当など、引越し先でも、ホカ弁などで済ませてしまう・・・便利な世の中になったものです。隣近所への引越し挨拶でも、タオルとかハンカチとかも、近くの100円ショップやディスカウントストアで買ったものを・・・さりげなく。
年越しそばは、以前は、紅白歌合戦を見た後、除夜の鐘を聞きながら・・・。今は、早めに食べて、後はゆっくり・・・勝手自由に。
5. そば料理
そばのゆで方や料理マニュアルは、「生き活き市場」ホームページの こちらから http://www.natcom.jp/recipe%20soba01.htm
6. そばの収穫量
日本のそばの作付け面積と収穫量は年々減少傾向にある。2002年の農林水産省の統計データは下記の通りです。
◇全国の作付け面積
地域 作付け面積(ヘクタール) 収穫量(トン)
全国(調査県) 41,400 25,400
北海道 11,300 10,500
福島 3,920 2,550
長野 2,640 2,210
鹿児島 979 1,510
茨城 2,140 1,310
栃木 1,420 1,210