狂牛病(BSE)〔牛海綿状脳症(Bovine Spongiform Encephalopathy)〕の原因が、羊の肉骨紛(骨、くず肉、内臓など)飼料によるものだと考えられ(羊起源説)、狂牛病にかかった牛肉・骨・内臓などを食べた人が、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(variant Creutz-feldt-Jakob disease)にかかり(狂牛病原因説)死に至る・・・といわれています。
狂牛病が 羊 ⇒ 牛 ⇒ 人間 と、いわゆる、「種の壁」を越えて感染していると考えられていること。
その病状が、脳が海綿状になり、うつ病精神症状 ⇒ 知覚障害 ⇒ 歩行障害 ⇒ 痴呆 ⇒ 死亡(発症から13ヵ月後) と、破壊的なこと。
狂牛病は、1986年に英国で初めて報告され、同国では2001年9月時点で、18万頭が発病、107人の新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者がでて、そのうち100人がすでに死亡しています。英国での発生件数が圧倒的に多いわけですが、ヨーロッパ大陸の大部分の国とカナダ、日本を含め、26ヶ国で発生が報告されています。
日本では、2001年9月に、1頭報告され、2001年10月の全頭検査開始以降、6頭の発生が報告されています。飼育地は北海道、群馬、神奈川、和歌山と広域に及んでいます。感染経路は、現在確定されていません。
日本での新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者は、今のところ、報告例はありません。
1. 狂牛病は、脳組織をスポンジ状にする悪性の中枢神経系の難病です。※ソースは、厚生労働省の公表資料です。

狂牛病(BSE)は、TSE(伝達性海綿状脳症:Transmissible Spongiform Encephalopathies)という、未だ十分に解明されていない伝達因子(病気を伝えるもの)と関係する病気のひとつで、牛の脳の組織にスポンジ状の変化を起こし、起立不能等の症状を示す遅発性かつ悪性の中枢神経系の疾病です。

〔BSEの臨床的特徴〕
  (1) 潜伏期間は2〜8年程度、発症すると消耗して死亡、その経過は2週間から 6ヶ月。
  (2) 英国では3〜6歳牛が主に発症。
  (3) 臨床症状は、神経過敏、攻撃的あるいは沈鬱状態となり、泌乳量の減少、食 欲減退による体重減少、異常姿勢、協調運動失調、麻痺、起立不能などであり、 死の転帰をとる。

1)原因は、異常化したプリオンという細胞タンパクです。※ソースは、厚生労働省の公表資料です。
BSEの原因は、他のTSEと同様、十分に解明されていませんが、最近、最も受け入れられつつあるのは、プリオンという通常の細胞タンパクが異常化したものを原因とする考え方です。プリオンは、細菌やウイルス感染に有効な薬剤であっても効果がないとされています。また、異常化したプリオンは、通常の加熱調理等では不活化されません。
2)プリオン病は、他の動物や人にも疾病例があります。※ソースは、厚生労働省の公表資料です。
めん羊や山羊のスクレイピー、伝達性ミンク脳症、ネコ海綿状脳症、シカやエルク(ヘラジカ)の慢性消耗病があるほか、ヒトについてもクールー、CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)、致死性家族性不眠症、vCJD(新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)が報告されています。
2. 新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、若年層に多く発生、発病率は低いけれど、致死率が高い。
1)新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と従来のCJDとの違いは、
  (1) 若年層で発生すること(20〜30代に多い)
  (2) 発症して死亡するまでの平均期間が13ヶ月に延長していること(従来は6ヶ月)
  (3) 脳波が異なること
  (4) 脳の病変部に広範にプリオン・プラークが認められること         ※ソースは、厚生労働省の公表資料です。
2)新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、最近の発生なので潜伏期間もはっきり確定できていないし、感染しているかどうかも診  察して結論が出せない状態です。また、有効な治療方法もみつかっていません。
3. 最も危険なのは、特定危険部位(脳、脊髄、眼及び回腸遠位部)です。肉等の安全性に問題はないとされています。
英国での実験・研究の結果、特定部位である脳、脊髄、眼及び回腸遠位部(小腸の最後の部分)以外のところからBSEの感染はなく、牛乳、乳製品からも感染はないとされています。また、「国際獣疫事務局」(OIE)の基準でも、牛肉は特定部位ではないとされています。
1)食用牛脂については問題ないとされています。
食用牛脂については、特定部位以外の部位を原料として、食品衛生法に基づく食用油脂製造業の許可を得た施設において溶解、精製されており、問題はありません。なお、「国際獣疫事務局」(OIE)の基準においても、タンパク質を含まない牛脂(不溶物が重量の0.15%以下の精製された牛脂)は問題がないとされています。※厚生労働省の公表資料より
2)医薬品(医薬部外品を含む。)、医療用具、化粧品からの感染も問題ないとされています。
これまで、医薬品(医薬部外品を含む。)、医療用具、化粧品から人にBSEが感染したという報告は国際的にもありませんが、平成8年4月には、英国におけるBSEの発生状況等を踏まえ、以下の措置を講じています。
(1) 英国産のウシ等由来原料(羊毛及びラノリン等羊毛由来物を除く。)の医薬品等(医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品)への使用の禁止
(2) 英国産以外のウシ等由来原料を医薬品等に使用する場合は、BSE発生群と関係のないウシ等に由来するものに限定
(3) 当該ウシ等由来原料の製造者、当該ウシ等の原産国、使用部位等を記録し、保管すること。
また、市場にある医薬品などが、ただちに危険性があるものではありませんが、欧州でのBSEの発生の拡大に対応した予防的な措置として、昨年12月に、新たな措置を講じています。 ※厚生労働省の公表資料より
4. 後手にまわった国産牛についての狂牛病(BSE)対策の厚生労働省の説明です。
1)狂牛病と確認された牛の処分は、
2001年9月21日に日本国内において確認された牛は、千葉県内で8月6日にとさつされた乳牛(ホルスタイン種、雌、5歳)で、とちく検査の結果、全部廃棄となり、食用には用いられていません。また、2001年10月18日の全頭検査開始以降、BSEと診断された牛は下表のとおりですが、これらの牛の食肉、内臓等、当該牛に由来するものはすべて焼却処分されており、市場には流通していません。

2) サーベイランスの強化について
国産食肉対策としては、これまで、24ヶ月齢以上の牛のうち神経症状が疑われる牛を対象として、BSEサーベイランスを行い、国内におけるBSE発生の有無についての調査を行ってきましたが、平成13年9月21日に国内におけるBSEの発生が初めて確認されたことから、牛由来の食品に対する安全性確保の更なる充実策として、このサーベイランス体制の強化を早急に行うこととしました。具体的には全ての牛についてサーベイランスの対象とすることとしました。
また、これまで、サーベイランスの精密検査については特定の研究機関で行っていましたが、都道府県などの各自治体においてもスクリーニング検査を行うことができるようにするために、平成13年10月上旬に研修等を行うことにより、早急に体制を整備しました。このスクリーニング検査は、10月18日から全国一斉に開始しました。

3) 特定部位(specified risk material)の取扱いについて
「国際獣疫事務局」(OIE)の基準によると、特定部位として牛については、脳、脊髄、眼及び回腸遠位部が指定されていることから、我が国においても、と畜・解体時にすべての牛の頭部(舌、頬肉を除く。)、脊髄及び回腸(盲腸の接続部分から2メートルまでに限る。)の焼却並びにこれらにより食用肉等が汚染されることのないよう衛生的な処理を義務づけています。
5. フランスでは、背割りは、吸引装置で特定部位の脊髄を抜いてやる方法に変更して安全性を高めていますが・・・。
日本、英国などEU諸国では、「背割り」(背骨に沿ってノコギリで二分割する方法)を行っています。特定危険部位の脊髄は脊柱のなかにあるので、背割りによって脊髄が破損して周囲の肉に付着する危険性が指摘されています。厚生労働省では、脊髄片が飛び散らないようにノコギリの歯を洗浄しながら切断し、洗浄水からも脊髄片を回収するなどの、脊髄の安全な除去と衛生管理の徹底を指導しているといいますが・・・。
上質牛肉部位の確保と効率解体のためらしいですが・・・安全性を優先すべきだと考えます。
6. 輸入食品のBSE対策に関する厚生労働省の現状説明です。

高発生国である英国については牛肉等(牛肉、牛内臓及びこれらの加工品)の輸入自粛を要請するとともに、低発生国についてもOIE勧告を踏まえ、健康牛であっても脳、脊髄等の危険性の高い部位が輸入されないことが重要との認識で対応してきました。
具体的には、牛肉等から人への病原体の感染については未確認であるが、人への感染の可能性が指摘されているため、念のため、1996年3月以降BSE発生防止対策が十分に実施されていないと考えられる英国産の牛肉及び加工品の輸入自粛を指導してきました。
さらに、2000年12月には、農林水産省が、BSEの我が国への侵入防止に万全を期すため、EU諸国等からの牛肉等の輸入の停止措置 (2001年1月1日実施)を決定しました。このことを受け、厚生労働省としても、この措置の周知を図るとともに、この措置に含まれない骨を原材料とする食品について、緊急措置としてEU諸国等からの輸入自粛を指導してきました。
このように、これまでは緊急的に行政指導による措置を行ってきましたが、欧州におけるBSE急増が継続して問題が長期化しており、国民の食生活への不安が高まっている中で、BSEの我が国への侵入防止策をより確実なものとすることが必要と判断し、農林水産省の家畜等に係る法的措置と並んで食品衛生法に基づく法的措置を行い、2001年2月15日、牛肉、牛臓器及びこれらを原材料とする食肉製品について、EU諸国等からの輸入禁止措置をとりました。
注1)EU諸国とは、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、デンマーク、アイルランド、英国、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、フィンランド、オーストリア、スウェーデンをいう。

7. 感染源といわれる肉骨紛の流通経路は、現在も不明。法的対応は以下のとおりです。
2001年10月15日現在の肉骨紛の使用農家は219戸(9,590頭)でした。
牛海綿状脳症対策特別措置法(平成14年法律第70号)
1)牛の肉骨粉を原料等とする飼料の使用の禁止等
@牛の肉骨粉を原料又は材料とする飼料は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、牛に使用してはならない。
A牛の肉骨粉を原料又は材料とする牛を対象とする飼料及び牛に使用されるおそれがある飼料は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入してはならない。
B @及びAによる規制の在り方については、BSEに関する科学的知見に基づき検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとする。
2)死亡した牛の届出及び検査
@農林水産省令で定める月齢以上の牛が死亡したときは、当該牛の死体を検案した獣医師(獣医師による検案を受けていない牛の死体については、その所有者)は、遅滞なく、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
A @による届出を受けた都道府県知事は、当該届出に係る牛の死体の所有者に対し、当該牛の死体について、家畜伝染病予防法第5条第1項の規定により、家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずるものとする。ただし、地理的条件等により当該検査を行うことが困難である場合として農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
3)と畜場におけるBSEに係る検査等
@と畜場内で解体された厚生労働省令で定める月齢以上の牛の肉等は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、都道府県知事又は保健所設置市の長の行うBSEに係る検査を経た後でなければ、と畜場外に持ち出してはならない。
Aと畜場の設置者等は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、牛の特定部位(牛の脳、せき髄等)については、焼却により処理しなければならない。
Bと畜業者等は、別に法律又はこれに基づく命令で定めるところにより、牛のと殺又は解体を行う場合には、牛の特定部位による牛の枝肉等の汚染を防ぐように処理しなければならない。